ハチミツに罪はない:『食のリテラシー』へのプロローグ

 ハチミツは超濃厚糖分保存食なんです
 働き蜂がお花畑をブンブンして花の蜜をチューっと吸い上げて回ります。
 ハチの巣に帰ってくると六角形に区切られた巣の中に集めた花の蜜を吐き出します。
 すると蜜の中の水分が自然に蒸発していきますから蜜の糖度が高くなり、あのドロリとしたハチミツになるんですな。そのドロリを人間がいただいちゃうわけですから頂いたハチミツの糖度はだいたい80度位もあるそうな。こんな高糖度だとハチミツに含まれている微生物は活動ができません。つまり、腐敗させる菌類も発酵させる酵母菌なども「本日休業」状態です。だからハチミツは長期保存可能な保存食なので、昔から非常時用の食料としても重宝されてきました。
 食品の保存方法として昔から行われていたのが砂糖漬のような糖分に頼る「糖蔵」、梅干やなれずしのような塩分に頼る「塩蔵」、切干大根や干し椎茸のような脱水分に頼る「乾燥」などでした。こういった食料保存法から見ますとハチミツって食品の部類に入るんじゃなくて、食品を保存させる立場の「保蔵用食品」、または「保存料」と呼ぶべきものかもしれませんね。お砂糖や鹽をそのままバクっと食べる人…ってそうそういませんよね。
 ハチミツだって同じことでそのままバクっ……ではなく調味料、保存料として使う物なのでしょう。ハチミツを調理に使えば他の食材や水分が混じってきますからハチミツの糖度は低くなってきます。糖度が下がればおやすみしていた微生物も眠りから覚め、活動を開始いたします。ここでボツリヌス菌も酵母菌もお目覚めしちゃうんですなぁ。
 酵母菌がえいこら活動を始めますとハチミツの糖分をエサにしてアルコールと炭酸ガスと発生させ始めます。平たく言うと発酵、もっと平べったく言うとお酒になる。これがハチミツのお酒「ミード」でしていとも簡単に作れちゃう。ハチミツ+その3倍くらいの水⇒三日も置けば微炭酸の発泡酒💛。しかし、お目覚めになったボツリヌス菌はヒトのお腹の中で悪さをする。胃や腸が成長している大人であれば大したことは無くても未発達の幼児の場合は中毒を起こすことも多々あるようです。
 「えー!そんな事誰も教えてくれなかったしぃ、ハチミツの瓶にも書いてなかったしぃ」と言う叫びに罪はない。そのとおりでしょう。かつては嫁ぎ先の義母やおばあちゃんが「赤子にハチミツ舐めさせたらイカンですよぅ」などと言ってました。と言ったところで義母やおばあちゃんがボツリヌス菌どーたらこーたらを理解していたわけではない。彼女たちも義母やおばあちゃんからそう言われてきたので何となくそう信じてた…と言うのが大半だったと思われます。それでもいいんじゃないでしょうか。「なんで幼児にハチミツはいけないんだろう?」と疑問を持てばすぐに調べられる時代になってるんですから今の時代はありがたいもんです。
 食のリテラシーとはこの事なんですの。食に関する情報、食品や衛生、機能性等に関する情報が溢れかえっているこの時代で、食の安全を確保するにはそれらの情報を正しく読み解くチカラが必要でしょう。
 食の情報を読む……ともすればその食品の生産履歴とか添加物の有無とか、農薬の使用状況ばかりに目がいってしまってはいないでしょうか?目に入ってくるそれらの食品情報を書いたのは、発信したのは、誰でしょうか?それらの情報は「売る側」の情報であり、売り手によって不利益になる情報までは書かれていないと考えるのが「情報を読み解くチカラ」なのです。

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○○山地に降った雨が地中深く浸みこんでゆき、何十年何百年の時を経て伏流水となる。我○○農園は○○高原にあり、オゾンたっぷりの澄み切った大気とミネラル豊富な伏流水で育てた農産物を皆様にお届けいたします。もちろん化学肥料や農薬は一切不使用ですから安心安全農産物を自信を持ってお届けいたします。当農園のたばこからは残留農薬も放射能も全く検出されておりませんからニコチンもタールも無添加無農薬、汚染物質ゼロ!安心安全なニコチン、タールを胸いっぱい吸い込んでくださいませ」
 売り手側の食品情報って赤字部分しかないでしょ?赤字部分だけ見てたらついつい安心して買っちゃうわな。読み解くチカラ=リテラシーを持ちましょ。


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